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ネタバレあり☆洋画好き女の感想日記

映画の感想をメインに、日常の出来事を徒然と。

「黄金のアデーレ 名画の帰還」がすごい!

特に事前情報なく、蔦屋でたまたま手に取った「黄金のアデーレ 名画の帰還」。

すごく良かった。

youtu.be

 

原題は「Woman in Gold」。

(正直これは原題のままの方が良かったんじゃないかな。せめて副題はやめて欲しかった。タイトルがネタバレになってるのは、なんて言うか、つらい。。。)

 

アメリカに住む年老いたマリアが、友人の息子(弁護士)に「昔オーストリア政府に奪われた叔母の絵を取り戻したい」と相談するところから話は始まる。

ようやく就職先が決まってホッとしたところに来た、金にならなさそうな案件で、若手弁護士は乗り気じゃないが……。
ってのが簡単なあらすじ。

 

以下、ネタバレ。

 ドキュメンタリーはツライ展開が多いからあんまり観ない私でも、これは好きだった。

過去回想にやっぱり目を背けたくなるようなツライ展開はあったけど、現代のマリアの様子がそれを緩和してくれてたかなと。

 

そうそう。まずタイトルがタイトルだから勘違いしがちだけど、ヘレン・ミレン演じる主人公は「マリア」です。「アデーレ」の姪っ子。
最初出てきた時は、いかにもたくましいオバチャン!って感じでエネルギッシュ。でも、回想に登場する幼い頃や若い頃は、どちらかと言えば内気で繊細な印象の、綺麗な人だった。

 

弁護士と言えば、よく見たらデッドプール役の俳優(ライアン・レイノルズ)だった。作品が違えば演技も違うのは分かっているけど、気付いた時はつい笑ってしまったw
刺したり撃ったりしながら下品なジョークを飛ばすイメージしかなかったけど、過去や血筋にはややドライだけど妻子を大事にするパパ弁護士も、とても素敵でした。

 

閑話休題
この作品の面白いところは、名もない若手弁護士の必死さと、必死になった結果を法定で公正にジャッジされる様子かな。
画面に向かって手を合わせ「判事さんお願い難しいこと言うのやめてこの子今めっちゃ緊張してるから!!」と念じつつ「がんばれがんばれがんばれ」って唱えたし、最終的には握った拳を喜びで突き上げた。

スカッッッ!!とした。

乗り気じゃなかった案件に、次第にのめり込んでいく様子も良かった。最初は金に釣られて。そして一度なす術なく敗走してからは、金じゃない何かのために。

自分の力不足で負けた時の描写もたまんなかったな。呆然として。弾かれたようにトイレに駆け込んで。誰もいないのを念入りに確認してから、堰を切ったように泣きじゃくるのは、ほんと人間味あふれてた。悔しさと無力感。

この瞬間、初めてこの人物のことを好きになった。
そこからの追い上げと熱意でさらに見直した! いい男じゃないか。

 

マリアの複雑な心の描写も凄い。
もちろん演技力も凄い。そして脚本も撮り方もとにかく上手い。
ユダヤ人を迫害し家族を奪ったオーストリアへの、マリアの怒り。今でこそ自分たちもナチスの被害者だったなんて言ってるけど、あの頃あなた達はあんなに楽しそうに喜んで私達を苦しめたじゃないかと、マリアは怒りながら同時にとても恐れていた。
アメリカに逃げてきてから何十年も経ったのに、彼女の中に燻る怒りと恐怖の気配が、握った手、目の動き、声の調子から濃厚に伝わってくるみたいだった。
でも同時に、オーストリアという過去を彼女はとても大切に思っているのも分かる。殺されそうで逃げてきたけど、それでも、懐かしい故郷だものなあ。
大好きな叔母と食事した場所、生まれ育った家、愛する夫との結婚式、叔母の絵が黄金色に輝く部屋で微笑み合う家族、親戚や友人と踊り明かした夜。
過去回想シーンは「ツライ展開」も多かったけど、幸せだった時期も鮮やかに描かれていて美しかった。

 

諦めや失望を乗り越えて手にした勝利だけど、

ある意味、2回も「故郷を捨てる」ことを決断しなくちゃならなかったと捉えることも出来るかもしれない。
彼女自身が考えていたようなハッピーエンドではなかったかもしれない。
でも最後に、幸せな時代の象徴のような叔母が美しく微笑んでくれたのだから、「よかったね」と鑑賞後は幸せな気持ちにひたることができた。

 

はーーー、語れば語るほど、
いい映画だったなー!と実感する。

少しでもご興味があれば、ぜひ観ていただきたい。